<杉森様邸>
家族構成:90歳代、60歳代、
30歳代の三世代の
ご夫婦が同居する
6人家族
 ※2004年9月訪問時です
 能登島にあった家を今の場所に移築してから約100年。思い切って建て替えた家は、どこにいても落ち着ける和風モダン。父子が生まれたときから過ごしてきた家の記憶があちこちに息づいています。

 補修をしながら大切に住み継いできたのですが、隙間から雪が吹き込み床もボコボコ。いよいよ建て替えとなったとき、住みたい家のイメージは長年暮らしてきた家と重なります。若いご夫婦もかっこいい西洋風の家はまったく視野になく、古民家再生の例を見に行ったりしました。

 “帰りたくなるような和風の家”にしたかったとおっしゃる通り、懐かしさがこみ上げてくるような外観。玄関の白い壁や飾り棚がモダンな印象を与える一方で、和風建築ならではのゆったりとした広がりと落ち着きも感じます。効果的な照明もくつろぎ感を与えているようです。前の家のシンボル的な要素はできる限り残そうと、囲炉裏や欄間はそのまま、使える木の材料は玄関の踏み台や濡れ縁に利用しました。「特に客間と仏間は昔の家を忠実に再現し、その中に現代的な要素も取り入れていただき満足しています」と息子さん。
 
 最終的にめざすイメージは全員一致していたとはいうものの、皆それぞれにこだわりがありました。生活に密着したキッチンやトイレなどの水まわりには機能性も求められます。関軒建設からの具体的な提案があり時間をかけた話し合いを重ねることで、住みやすさや使い勝手の良さを兼ね備えた思い通りの家が実現したといえます。
 家族一人ひとりが描いている新しい家への期待や希望がうまく一つにまとまって、杉森家ならずとも日本人なら一度は住んでみたいと願う家になったのではないでしょうか。




絶対残したいシンボル
「前の家のシンボル的要素はできる限り残したい!」この格子もその中の一つですが、こういった細工ができる職人さんが、今は少ない。職人さんを探すのが大変だったそうです。


リフォーム?いいえ、新築です
客間から仏間にかけては昔の間取りをそのまま生かしつつ、現代的な感覚も加味されています。たくさんのお客様が来たときは囲炉裏を囲んで‥‥という情景はお父さんにとって残していきたいものの一つ。囲炉裏の灰も息子さん夫婦がとっておいてくれました。
家を支えていた梁もそのまま使いたかったのですが、残念、虫が食っていて傷んでいました。ということで新しい梁が入っています。



使える物は使いたい
夏の夕暮れにはビールを片手に夕涼み、秋はお月見など、季節を感じながら語りあう時間が増えそうです。濡れ縁の欅の板は前の家の木材を使ったもの。玄関の踏み台や飾り棚も、床の間の板をきれいにして利用しました。




赤が印象的なキッチン
ダークブラウンなどの無難な色にしようか迷ったのですが、夢にまで出てきたこの赤に決めました。大家族なので短時間で洗い終わるホシザキの食洗機を選んで大正解。
みんなで料理したりお菓子作りができる、広々とした機能的なキッチンです。



こういう工夫が主婦には嬉しい
古い流し台を土間に置き下流しに。泥つきの大根を洗ったりするのにとっても便利。お願いして作ってもらった家事室も思った以上に重宝です。



モダンで落ち着いた照明
シンプルでモダンな照明が効果的に配置されています。足元に和紙を使った手作りのスタンドがあったり‥‥そうそう、昔の田植え道具もお父さんの手で照明器具に生まれ変わりました。なかなかの存在感です。



目的別にトイレが4つ
おじいちゃん、おばあちゃんがよく使う奥のトイレ。玄関の横はお客様が使い、2階は若夫婦。畑仕事の途中に土足のままでも入れるように、土間にもトイレがあります。
信楽焼の手洗いボールがまるで割烹のよう。お客様用トイレでは思いっきりデザインを重視しました。

照明のON・OFF、便器のふたの開閉、水を流す‥‥。おじいちゃん、おばあちゃんが使う奥のトイレはすべて自動にしました。










ご主人 謙一さん
すべて私の思い通りに!

奥様 洋子さん
キッチンなどの水まわりです。特に下流しはご近所の方からもうらやましがられます。

息子さん 慎一さん
旅館の雰囲気をイメージした脱衣場とか和風の照明すべて。少しやりすぎかなと思いましたが、みんなを説得した甲斐がありました。

若奥様 優子さん
全部!どこにいても落ち着けるし、うれしくなります
客間の天井が吹き抜けになっているのですが、2階部分には壁がありませんでした。
今は大人だけだからいいのですが、子どもができたら危ないかも。
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住んでみて思うこと
玄関や濡れ縁のひさしに雨樋をつければ良かったこと     
犬走りの高さが低すぎてしまったこと。






古い民家を利用したショップや施設が人気とはいうものの、新築に古い家を生かすというのは、なかなかできない勇気のいる贅沢かもしれません。家を建て替えるとき、家族の歴史や思い出まで失いたくないと願うのは自然なこと。92歳になるおじいちゃんが、新しい家になったら杖に頼らずに歩けるようになったとお聞きすると、私も幸せを分けてもらったような気持ちになりました。
レポーター 泉谷 浩美



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